さて、前回ちらと触れた、メアリー・ホプキンのThose Were The DaysのB面は、Turn Turn Turnだった。このオリジナルは、バーズではなくて、ピート・シーガーである。であるなどと威張っているが、ぼくも最初はバーズの曲かと思っていた。いや、のみならず、Mr. Tambourine Manもバーズかと思っていた。バーズのディラン・カヴァーはどれも、自分たちの音楽性を存分に際立てた佳曲であると思う。"Sweetheart Of The Rodeo"好きなので、You Ain't Going Nowhereも捨てがたいが、ひとつ選ぶのならこれがいい。
67) Jonathan King / Million Dollar Bash (Bob Dylan & The Band)
思いっきりハネた感じのポップスに改作していて、さすがはジョナサン・キング。キングはUKレコードを主催し、10CCを世に送り出したことで知られる。ベイ・シティ・ローラーズを見いだしたのも彼だそう。ぼくは、サイモン・ターナーのファーストを制作したことで彼の名を知った。 ジョナサン・キングにはカヴァー曲が多く、ディランは他にJust Like A Womanなど演っているが、これも甘甘に仕立ててはいるけれれど自分的にはもううひとつ。おもしろいのは、Bubblerock名義で出した、ストーンズ・カヴァー(I Can't Get No) Satisfaction。出だしの脱力感と、後半のんきに盛り上がるところが、好きな人は好きだろうけど、嫌いな人は嫌いだろう。どうだろう、嫌いな人のほうが多いかもしれない。
高校のとき、モッズパーカーを着込んでヴェスパを駆り、ザ・フーをこよなく愛した同級生がいた。その友達にディーヴォのサティスファクションを聴かせたら、顔を真っ赤にして怒り出したことを思い出した。ジャムのDavid Watts (The Kinks)とかは好きだったけど、ディーヴォはふざけてるのがどうもいけなかったらしい。特に「ヘイヘイヘイ」という部分が許せなかったらしく、その箇所にかかると「うわー」と叫んで、耳を押さえて転げ回ったりしていた。彼は後に博多でDJとかやり出したように聞いているが、今でもディーヴォのサティスファクションは嫌いだろうか。上でPJハーヴェイの音を探していたとき、こんなものを見つけた。このサティスファクションならどうだろうか。
Bjork & PJ Harvey / (I Can't Get No) Satisfaction
何の脈絡もなく突然思い出した小ネタがあるので、忘れないうちに挙げておく。それはランナウェイズによるヴェルヴェット・アンダーグラウンド・カヴァー、Rock And Rollなのだが、なかなか斬新なアレンジでキム・フォウリーの入れ知恵かと思いきや、実はミッチ・ライダーとデトロイト・ホイールズのカヴァーのカヴァーである。ぼくは長らく、1969年の録音と記憶していたのだが、Wikipediaには1972年にDetroit With Mitch Ryder名義でシングル・リリースされたという記述があった。 そして、上のことを書いているうちにもう1曲思いついた。こういうのはカヴァーとはいわないか。まあ、いいや。